適度にミーハーになりたい
「全集中!!!」
半年ほど前の職場でのこと、何かの話の流れで言った。同僚たちは「懐かしいっすねw」みたいな反応で、なぜかチームの温度が数度下がったような気がしたが、まだ肌寒い季節だったからというだけではなさそうだ。
鬼滅の刃ブームから数年、いまだに「全集中」と言っている人類がずいぶん少なくなったと思う。とは行っても、僕は鬼滅の刃の大ファンではない。それどころか、僕は鬼滅の刃のアニメを見たことがなく、原作漫画も読んでいない。なので知識もほとんどなく、鬼と戦うらしいことと〇〇の呼吸みたいな技?(ロングブレスダイエット的な?)があることくらいしか知らない。
そのため、「全集中」というセリフをどのような場面で用いられるのか、誰が発するのかも知らない。主人公の竈門炭治郎(名前くらいはさすがに知っている)が言うのか、それとも他のキャラ(口癖が「全集中」のキャラがいるとか)が言うのかも知らないのだ。
そもそも全集中とは一体何なのか。「半集中」や「三分の一集中」など段階があるものなのかも知らない。多分、全力で集中することを言っているんだと思うのだが、「全(力)集中」の略なのか「(完)全集中」の略なのか、それとももっと長い言葉をいい感じに略しているのか。何も知らないのだ。
件の鬼滅の刃だが、こないだまた映画をやっていたらしい。映画をやっていたからなのか、近所の小学生らしき子どもたちが「全集中」と言いながら遊んでいたのは良かった。全集中と言っている人口が自分以外にも増えたということで、何だか安心感がある。
鬼滅の刃の件でも思ったのだが、ここ数年僕は「適度にミーハーになりたい」と考えている。
ミーハー。それは「流行好きな人」を指す俗語で、すぐに流行に流される軽薄さを揶揄する言葉だと思う。それを承知であえて言っている。別にバカにしている意図などない。本当にミーハーになりたい。ただし適度に。
これまでの人生、流行を追うということをあまりしてこなかった。これまで何となくミーハーを馬鹿にするような気持ちもあった。流行に流されることが何か恥ずかしい。こういう感情を抱いたことがある人は僕だけではないはず。とにかく斜に構えてきた。
いわゆる「逆張りオタク」だったのだ。思えば、中学生時代にみんながジャンプを読む中、僕はサンデーを購読していた。世間がワンピース、NARUTO、BLEACHで盛り上がる中、僕は名探偵コナン、史上最強の弟子ケンイチ、金剛番長を読んでいた。こういうことをしていると、やはり逆張りオタクになることは避けられない。(ワンピースとBLEACHは読んだけど、実はまだNARUTOは読んだことがない。これは自分でもマズいなあと思っている)。
余談だが、少年時代にコロコロコミックではなく、ボンボンを読んだ人間は高確率でオタクになるらしい。僕はコロコロ派だった。つまり、小学生の頃は正式ルートにいたことになる。中学時代に厨二病のやられて道を踏み間違えたのかもしれない。
しかし、30歳も超えて色々と経験してくると、ある程度ミーハーになった方が人生楽しいんじゃね?と思うことが増えてきた。つまり流行している作品をストレートに受け止めて楽しんだ方がいいんじゃねということである。
そもそも世間で流行っている映画、ドラマ、アニメ、音楽、小説などの作品は面白い確率が高い。流行っているなりの理由がある。昔よりも何でこれが流行っているんだ?という作品は減ってきたような気がする。昔はメディアがテレビ、ラジオ、新聞しかなく、それらが売りたいものがそのまま流行になっていった?ことが関係あるかもしれない。
それに作品には旬というか、見るべき適切なときがあるように思う。それを逃すと、せっかく面白い作品に出会って他人に語ったとしても「それ昔、流行ったよね〜」「懐かし〜」で会話終了である。なんかもったいない気がする。
そういうわけなので、僕は適度にミーハー(いやちゃんと流行に乗れる人と言い換えよう)になりたいのだ。過度に追う必要はないと思うので、適度に。
まずは鬼滅の刃を見るところからかもしれないと思い、1話だけ見たがそこで止まっている。次回予告で「育手・鱗滝左近次」でビビった。「うろこだきさこんじ」って凄い名前だな。どんなやつやねん、で止まっている。鱗滝左近次がどんな見た目のなのかもわからない。早く見なければ。